設置者・校長・主任教員の対応留意点

一 「設置者」の対応の留意点

1.設立の趣旨

日本語学校を設置するに至った趣旨(動機)
設置者によって日本語学校設立の決断に至った趣旨(動機)はそれぞれ異なると思われますが、外国の子弟を預かり、日本語教育を実施すると考えるに至った経緯を聞かれる場合がありますので、その旨説明すれば良いと思います。

2.日本語教育を実践するために有する理念
外国の子弟に日本語教育を何のために実践するのか、そのための理想・信念・方針としてどのようなお考えをお持ちでしょうか。

3.教育の目標
教育の理念を実践するために、具体的にはどのような目標を設定するのか、どのような指導をするのか教育方針を策定する必要がある。例えば、日本語能力試験の合格レベルを設定すること、学習態度、規律、生活習慣、文化、慣習の教育などを策定して実践、習得させるための計画・方針を策定する必要がある。

4.健全な学校運営の確保
学校運営を自立経営できるよう軌道に乗せる責任があります。経営基盤の弱い学校では、生徒の学習・生活に不安と不便を与え、最悪の場合は不利益・損害を及ぼすことになります。学校の経営は、学校自体がしっかりした経営基盤を持って運営できるようになるまで、設置者はその運営に責任を持たなければなりません。

5.教員・職員の適切な人材を確保
校長・主任を始め、専任・非常勤・事務職員の資質・人員を確保することは、留学生の適正な教育を実践するためには不可欠の要素です。人材の採用面接において、その職務に責任感のを持ち、留学生の教育に思い入れを有する人材であり、且つ教育者として相応の経験を持つ校長・主任・その他の教職員を確保する必要があります。
6.施設(校地・校舎)の充実
学生の定員(設置当初100名以下)に応じた校舎・教室の広さ、トイレ数、図書室、保健室等、
学生が快適に学習できる設備上の環境を準備することは、設置者の責任です。学生にとって不自由で、窮屈、不便な設備・環境は、良好な学習・教育効果を上げることができません。設置者には、入学して来る留学生に対してそのような思いやりが望まれます。

二、「校長」の意識・対応の留意点
1.校長の地位・職責の重要性
校長は、学校の財務・人事・運営の要となる職責を担っています。校長は、非常勤で十分だ、留学生の教育に関わる日本語教育に携わった経験はなくても大丈夫だ、主任が兼務しても問題ないとの見解もあり、これまで日本語学校の職責者としてあまり重視されなかった経緯が無かったとは言えません。しかし、校長は、日本語学校の学則(校則)の設定者であり、それに基づく細則の設定者にもなります。日本語学校の運営全般に関わる重責をになる職務です。

2.校長の勤務形態が非常勤或いは他校校長との兼務
法務省告示基準(第一条十号ロ)で、校長が他校の校長を兼務する場合は、原則、副校長を置くことが定められている。このことは、校長の職責が学校運営にとって重要な職責であることを意味しています。したがって、日本語学校の校長は、常勤且つ専任であること、さらには日本語教育の経験を有することが有効な条件になろうと推測されます。少なくとも、校長は、非常勤で形式的な名誉職として位置づけることは適切ではないと考えられます。

3.校長の具体的職責
校長は、学校経営の財務、人事、運営の責任者です。教・職員の役割の調整、学内評価委員会の運営者、対外的な交渉の責任者、さらに学生が留学生であるところから、渉外的な入国在留問題、学生の進学先の交渉、学生の募集業務など重要な職責を持って居ます
学校運営の全般に関わる責任者であることから、教育者としての識見を有し、5年以上の教育業務の経験を有することが求められています。特に日本語教育に限定されていませんが、日本人学生と留学生とは様々な点で異なった判断・識見が必要とされます。外国人に対する日本語教育に関わった経験を有することは有効と思われます。

三、「主任教員」意識・対応の留意点
1.主任教員の職責
主任教員に就任するには「専任」教員3年以上の実績(経験)が求められます。主任は、教材の選定、学生のクラス分け、教員の担当分け、学期の授業計画、生活指導の責任者、授業の分担など留学生教育の指導全般の責任者となります。非常勤教員のように担当授業のみの職責を果たす立場と異なり、授業、生活指導、教員指導等の重責を担っています。そのため、教員としての授業担当の負担は軽減されるべきであると考えます。

2.独断、偏見に偏らない人事管理
教材の選定、教員の人事、校長との連携など、主任教員は、独断、偏見に至らないように公平な識見が望まれます。日本語教育の全般における識見、情熱、実行力、説得力など教員の管理者としての経験、指導力が求められます。専任教員として3年以上の実績は、そのために求められる要件です。
3.留学生の日本語能力習得の成果
主任教員も校長とともに、学内評価委員会の主催者である。専任教員、非常勤教員、事務職など学内人材の全ての者と連携し、指導し、2年間又は1年6か月コースの学生の日本語教育の成果を上げることが求められます。学生のコース修了時に、日本語能力試験N3レベルに至らないまま卒業させることでは十分な職責を果たしたとは言い難いと思われます。

 以上が、適正な日本語学校に於いて求められる「設置者」「校長」「主任教員」の職責です。
日本語学校の新規設立の際に、文科省が実施する「聞取調査」においては、このような職責を担う者として就任する意識を持っているか否かが問われます。      以 上